翻訳:[薪炎の律者]メイキング

この記事は、下記動画の英字幕を日本語に訳したものです。

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ライターやデザイナーなどのスタッフ陣が、薪炎の律者のメイキングについて語っています。

意訳された英語をさらに訳していますので、多少のニュアンスの違いがあることをご承知おきください。

 

[PV]

流れ星が夜空を駆け、その眩い光に人々は願いを込めた。
進むべき道を見失い、闇の中つまづくこともあったけれど。
それでもその星は、虚ろな闇を振り切るように、前に進み続けた。
これは彼女の物語。
これはとある流れ星の、夜明けまでの軌跡。

[ライター]
ライター陣は、”最後の授業”が第一幕の終わりと考えています。
そしてChapter9-1から、支配劇場の終焉を描くChapter25までが第二幕です。

この二年半の間、メインストーリーでは、三人の主人公の成長と変化を主題として描いてきました。
この第二幕では、彼女たちは離れ離れになり、違う体験をしていきます。
そして、世界を自分なりに捉えていくようになるのです。
極端に言えば、彼女たちの道は分かたれたわけです。

この過程におけるキアナの成長は、辛抱強いものでした。
人間、一晩で成長するものではありませんから。
アニメの順では”天穹の流星”、”罪人の挽歌”、”渡世”を経て、キアナの心境は変わっていきます。
彼女は何度も打ちのめされ、何度も立ち上がります。傷に耐えながら、前へ進むのです。

天命の実験体K-423として誕生した彼女は、まっさらな白紙のようなものでした。
彼女はこの世界に好奇心を持って飛び込んでいきます。
その旅路には、苦悩や困惑、決して償うことのできない喪失があった一方で、
人の温かさや喜びもあって、それが彼女の背中を押していました。
そして、完璧じゃない世界を変えるという信念を持ち、戦い続けるのです。

彼女の魂は、シーリンの願いから生まれました。
同じくして生まれた空の律者としての魂に彼女は打ち克ち、真にキアナとなりました。

私たちはみんなキアナが大好きです。
この二年の間にリリースされたキアナ関連のエピソードは重苦しかったと、私たちも思っています。
彼女は、考えてきたこと、感じてきたこと、心の叫びを解き放ち、薪炎の律者として覚醒します。
これは彼女の、彼女自身に対する、そして旅路の中で交わった人達に対する答えなのです。
そんな薪炎の律者を形作るのは、とてつもなく重大なタスクでした。

[キャラクターデザイナー]
構想段階では多くのアイデアがありましたが、
私たちは、空の律者を基本コンセプトにしようと考えました。
完全になったキアナは、空の律者としても新しい存在になるでしょうから。
それを、第二次崩壊で6つのコアを持っていた時のシーリンのような、
複数の律者の力を併せ持つ融合律者のようにしてみることも考えました。

[コンセプトアーティスト]
しかし、どれも”キアナ”らしくないと気づいたのです。
まず、彼女は尊大な女王ではありません。
彼女は抗う戦士であり、運命に叛逆する者です。
天穹遊侠のコンセプトからこの点を強調することにしました。

キアナは、かつてのシーリンのような女王とは違うんだ、女王らしくないほうが良い、ということみんな同意しました。
そうしたイメージよりも、天穹遊侠の延長線上にあって、進化したものだと捉えたのです。
コンセプトアートの作成段階で、私たちは薪炎の律者の目を青色に決めました。
青い目は、キアナがキアナであることの象徴だからです。

[アクションデザイナー]
これまでのキアナと違うのは、大剣で戦うところです。
新しいモーションを作るということで盛り上がりましたが、
最初は何も思いつきませんでした。
大剣は別に珍しい、斬新なものではなかったので。

[キャラクターデザイナー]
出てきたアイデアをまとめてみると、様々な問題が湧いてきました。
端的に言って、かっこよくなかったんです。
例えば、よくある大剣のモーションといえば、振りかぶって斬りつけるといった、
どっしりとしてシンプルなものですが、地味で律者らしくありません。
私たちは、先入観にとらわれてしまっていました。
これでは、"薪炎の律者"になったキアナの飛躍的な成長を表現できません。

[コンセプトアーティスト]
これらの問題は、私たちだけでは解決できないものでした。
私たちは途方にくれました。

[キャラクターデザイナー]
広く意見を集めたりもしましたし、初期段階から見直そうかと考えることもありました。
一見すると面白そうなアイデアも、いくつかあったのです。
でも、一番根底にある設計原理を損ねるわけにはいきませんでした。
なんといっても、キアナという唯一無二の存在を扱うのですから。
ビジュアル的な問題で、彼女の輝きを失うようなことがあってはいけません。

[コンセプトアーティスト]
私たちは、彼女に”戦士”であって欲しい。
プレイヤーの皆さんにもそう感じてもらえるのなら、私たちの方針は間違っていないはずです。
そして、方向があっているのなら、突き進むのみです。
私たちは彼女のデザインにさらに磨きをかけました。
歯車の設計をするかのように、すべてのディテールに細心の注意を払いました。
そうして作られた歯車を精密に組み合わせると、自然と一つのものが完成するのです。
これこそ、私たちが描きたかった薪炎の律者でした。
彼女が戦士であり、姫子の魂を受け継ぐ存在であることを踏まえ、
”薪炎の律者”には大剣・マント・炎の3つの要素を盛り込みました。
マントを身に着けたキャラクターといえば、運命に立ち向かう長い旅に出る姿が多くの作品に描かれています。
このイメージはキアナによく合うものでした。
彼女が剣を振るとマントが翻るのですが、これが最高にクールなんです。
大剣にも特徴を持たせました。
キアナの状態に合わせて変化するようになっていて、
彼女が強化状態に入ると、オーバーヒートして部分的に自壊していくのです。

[エフェクトデザイナー]
赤と、それを引き立てる青が、このキャラクターにはとてもマッチしていると考えました。
赤は”真紅の騎士・月蝕”と”神落の剣・スルト”を彷彿とさせ、姫子から受け継いだものを表します。
そして青は、キアナ自身を表す色です。
これこそ私たちが表現したかったものでした。
”薪炎の律者”に向けた技術面での準備は、早いうちから進めていました。
技術を進化させ、炎のエフェクトをより自然に、よりダイナミックにすることができたと思います。

[アクションデザイナー]
”薪炎の律者”は空の律者の力を使うこともできるので、
空の律者の特徴的な指パッチンを残すことにしました。
ですが”薪炎の律者”は優雅で尊大な女王ではありません。
この姿はキアナの決意の表れなのです。

[キャラクターデザイナー]
”薪炎の律者”のスキルデザインのキーワードはまさしく”薪”と”炎”です。
通常形態の彼女の攻撃は敵に燃焼効果を与えます。
律者形態に入ると空中での戦闘が可能になり、律者の能力を反映した動きになります。
空中で、瞬間移動による高速機動が行えるようになり、
さらには時空断裂を起こして敵を引き寄せることもできます。
戦闘が進むにつれて攻撃速度とダメージ量がどんどん上昇していきます。
まるで、炎が燃え盛り、輝きを増していくように。

[コンセプトアーティスト]
大剣とマントは、戦士の勲章です。

[エフェクトデザイナー]
炎は、闇を切り裂く力を彼女に与えます。
生み出す炎はすべて、彼女が受けてきた温もりや感じた喜びを象徴するものです。

[アクションデザイナー]
指を鳴らすとき、彼女は運命に、そして完璧じゃない世界に宣戦布告しているのです。

[キャラクターデザイナー]
全身全霊で大剣を振るうキアナと、巻き起こる炎の中、キアナの動きに合わせて翻るマント...
これらが織りなす繊細なハーモニーこそ、”薪炎の律者”に対して私たちが抱いていたイメージでした。

[ライター]
キャラクターが、周囲の人々と一緒に成長していく、というのはロマンチックでいいですよね。
白練、遊侠、空の律者、天穹遊侠、そして薪炎の律者。
今のキアナがあるのは、周囲の人々のやさしさあってこそ。
今度は彼女が、そういう美しいものを誰かに伝えていく番です。
そして、その誰かがまた、周りの人々に良い影響を与えていく。
壮大なリレーの始まりです。
バトンを渡された人はそれぞれ小さな火だけど、欠かせない。
これが永遠に燃える”薪炎”なのです。
美しいばかりではない世界だからこそ、私たちは美しいものを求めます。
これは”立ち上がれ!美しい世界を守るために”というキャッチコピーが意味するところでもあります。
Chapter 25はまだ終わっていません。
7月2日には、part2をリリースします(注:グローバル版他では7月30日)。
part2には支配の律者との最後の戦いも含まれます。
part3とクライマックスの短編アニメーションは7月9日公開です。(注:グローバル版他ではpart3は8月6日更新)
彼女たちの未来を、ぜひ一緒に見届けましょう。